遺産分割に期限ができた??
1 法律が改正され、遺産分割協議に期限ができたのですか?というご質問をいただくことがあります。それは本当なのでしょうか。
令和3年4月21日に「民法等の一部を改正する法律」が成立しました。この改正で遺産分割協議に期限が設けられたのでしょうか。
厳密にいうと、遺産分割協議の期限が設けられたのではありません。特別受益と寄与分の主張に期限が設けられました。現在の民法では、遺産分割において特別受益や寄与分については何年前のものでも遡って主張することができます。これが改正法では、相続開始から10年を経過すると特別受益や寄与分の主張ができなくなります。この主張は家庭裁判所での調停や審判手続において主張しなければなりません。
2 どうしてそのような期限を設けたのでしょうか。
遺産分割がなされず、不動産について相続登記がされないまま時間がたってしまうと、だれが不動産の所有者かわからなくなってしまいます。そのような所有者不明の土地は取引できず、また、災害等が発生した場合に復興の妨げとなります。そのため、遺産分割を促すために、法改正がされました。
3 改正法はいつから施行されるのでしょうか。
改正法は公布の日から2年を超えない範囲内において施行されます。そのため、令和5年には施行されるものと思われます。
4 改正法が施行された時点より前に相続が開始していても、改正法が適用されるのでしょうか。
改正法は、改正法が施行された時点より前に開始した相続にも適用されます。
5 改正法の施行時点で相続開始から10年を経過していると、もはや特別受益や寄与分の主張はできないのでしょうか。
改正法には経過措置があります。そのため、改正法の施行から5年間は特別受益や寄与分の主張が可能です。