相続でお困りの方へ
相続は必ず誰もが経験することになります。
そして、それは突然であることも多くあります。
ご家族や親しい人が亡くなるだけでも心を痛めることですが、それに加えて相続争いが発生すると、精神的負担は計り知れないものがあるでしょう。 |
●親が亡くなったが遺言書がなく、遺産をどう分けてよいかわからない
●兄が遺産を独り占めして、一方的に遺産分割協議書に判を押すように求めてきた
●遺産分割を進めているが、生前に親と同居していた姉が財産を使い込んだり、隠したりしている疑いがある
●遺言書があるのに、他の兄弟が遺言書の効力を争い遺言書どおりの分割が進まない
●遺言書があるが、全ての財産を姉に相続させるとなっており、姉は私に遺産を一切分けないと言っている
●遺留分減殺請求をされているが、相手の主張する遺留分額が不当に高額である
遺産分割で相続人同士が揉めるのは、例えば、
不動産はいらないから現金や株式だけ欲しい、あの不動産とこの不動産が欲しいなど、当事者のうち、誰かが自分の都合の良いように主張を通そうとしているためです。
従って、相続人が当事者同士で話し合っても埒が明かず、時には相続人の配偶者が背後で相続人を焚きつけ、争いが長期化・複雑化することで、相続が「争続(争族)」になってしまうこともしばしばです。
このような場合、 弁護士は最終的に審判や訴訟になった場合の裁判所の判断を念頭において、あなたがどのように交渉すべきかをアドバイスすることができます。また、場合によっては、あなたの代理人として、あなたの気持ちを汲み取りつつ、法律に則って相手方と交渉することもできます。
そのため、できるだけ早いタイミングで、弁護士にご相談ください。一旦、当事者同士で感情的に揉めてしまうと、解決までに長期化、泥沼化することがとても多いのです。「争続(争族)」になってしまう前にご相談いただければ、迅速な解決の可能性が高まります。
当事務所では、弁護士自身が相続人としての経験を持っており、親身になって話を聞き、丁寧に説明することを心がけております。是非一度ご相談下さい。
(相続が発生している方)
遺産分割問題解決の流れ 特別受益と寄与分 遺留分減殺請求について
(これから相続を迎える方)
法定相続とは
財産のある方が、遺言をせずに亡くなると、その財産は民法で定められた相続人が、民法で決められた割合にしたがって承継することになります。これを「法定相続」といいます。
また、「法定相続分」とは、法定相続によって相続人に相続される相続財産の割合をいいます。
ですから、法定相続分を知ることは、誰にいくらが相続されるのかを知るひとつの目安となります。
遺言書がなく被相続人が亡くなると、法定相続では以下のように決められています。
・配偶者は常に相続人
・直系尊属は、子がいない場合の相続人
・兄弟姉妹は、子と直系尊属がいない場合の相続人
法定相続人の順位と割合
順位 | 法定相続人 | 割合 |
1 | 子と配偶者 | 子=二分の一 配偶者=二分の一 |
2 | 直系尊属と配偶者 | 直系尊属=三分の一 配偶者=三分の二 |
3 | 兄弟姉妹と配偶者 | 兄弟姉妹=四分の一 配偶者=四分の三 |
遺言書をあらかじめ作っていれば、法定相続分と異なる相続をさせることが可能です。
ただし、この場合、遺言書が相続人の遺留分を侵害する場合にはトラブルになる可能性があります。
遺言書は、亡くなった方の思いを反映させるものですが、後々トラブルにならないようにするには、作成時にまず参考にされるべきものが法定相続分なのです。
相続のスケジュール
相続開始後は葬儀、法要、香典返し、納骨、挨拶状作成など大切な仕事がたくさんあります。
それらをこなすだけでも相当の気遣いと時間を費やすものですが、ほぼ同時に相続手続も進めていかなくてはいけません。相続には各種申請が必要になりますので、しっかりと「どのタイミングまでに」、「何をすべきか」を把握しましょう。
○相続人の死亡(相続開始)
葬儀の準備・死亡届の提出 死亡届は7日以内に提出
↓
○葬儀
↓
○初七日法要
遺言書の有無の確認 遺言書は家庭裁判所の検認後に開封
↓
○四九日法要
相続人の確認 戸籍を取り寄せて調べます
相続財産・債務の概略調査 相続放棄・限定承認の検討
↓
○相続放棄・限定承認(3か月以内)
家庭裁判所への申述
↓
○所得税の準確定申告と納付(4か月以内)
相続財産・債務の調査
相続財産の評価 相続財産目録の作成
↓
○遺産分割協議
相続税の申告書の作成 相続人全員の実印と印鑑証明
納税の方法、延納・物納の検討
↓
○相続税の納付(10か月以内)
被相続人死亡時の税務署に申告・納税
遺産の名義変更手続 不動産の相続登記など
↓
○遺留分減殺請求権(遺留分侵害額請求権)の行使(1年以内)
内容証明郵便等による意思表示
相続の基礎知識
相続問題は初めて経験される方が多いと思います。また、遺産分割は争いになると、複雑で解決するまでに時間がかかります。
相続とは、亡くなった方の財産や負債といった権利義務が他の人に承継させることです。
相続によって権利義務を承継する人を「相続人」と呼び、亡くなった方との間に民法で定める一定の身分関係がある人が「相続人」と呼ばれます。
実際に、相続・遺産分割を進めるにあたっては、
・誰が相続人なのか?
・財産がどれだけあるのか?負債がどれだけあるのか?
・遺言は残されているか?
・財産をどのように分けるか?
・相続税は発生するのか?
をきちんと調べる必要があります。間違いがあればすべてやり直しになってしまうこともあります。
相続に慣れている方はいません。ご不明点がある場合や、トラブルが想定される場合は、個別の問題については、専門家である弁護士にご相談ください。
相続の放棄、限定承認
相続財産には、現金、不動産、預貯金、株式などのプラス財産だけでなく、借金等のマイナスの財産も含まれています。
そのため、マイナスの財産が、プラスの財産より多い場合は、相続してもマイナス財産だけが残ってしまうことになります。そこで、相続人は、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も含めて権利義務の承継を全て拒否することを選択できます。これを相続放棄といいます。
より正確には、相続には、単純承認、限定承認、相続放棄の3種類があります。
Q:単純承認とは。
A:被相続人の財産の一切を継承する方法です。
この場合は特別な手続きをする必要はありません。
Q:限定承認とは。
プラスの財産が多いのか、マイナスの財産が多いのかが分からない場合に、有効な方法です。相続で得た財産の範囲内で借金等の債務を返済する、という条件付きで相続する方法です。
限定承認の手続きは、相続開始を知った時より3か月以内に、家庭裁判所に限定承認の申述を行います。
限定承認のデメリットは、公告をしたり、債権者へ催告をしたりしなければならないなど、手続きに非常に手間と時間がかかること、相続人が複数いる場合には必ず全員で手続きをしなければならないことです。
Q:相続放棄とは。
A:被相続人の財産を放棄し、一切の財産を相続しない方法です。
被相続人の遺産よりも借金の方が多い場合、この方法を取ります。相続放棄の手続きは、相続人が被相続人の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行い、それが認められれば相続放棄した人は初めから相続人ではなかったことになります。
第1順位の相続人が相続を放棄した場合は、第2順位、第3順位へと相続人が代わりますので誰も相続を希望しない場合には、順次相続放棄をする必要があります。
Q:相続開始から3か月を過ぎてしまいましたが、相続放棄できるでしょうか。
A:例外的にできる場合があります。
相続放棄は原則として相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。これを熟慮期間といいます。
この熟慮期間については相続人が複数いる場合には、各相続人について個別に進行します。
相続開始をしったときとは、被相続人の死亡の事実及び自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算すべきとされます。
もっとも、相続財産が全く存在しないと信じるについて相当な理由がある場合には、熟慮期間は相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識したとき、または通常認識しうべき時から進行します(最高裁昭和59年4月27日判決)。
そのため、亡くなった方の生活歴や相続人との関係など諸事情によっては相続開始から3か月を過ぎても相続放棄できる場合があります。