遺言書を作成したい方

相続は相続する側、される側にも大きな心配がつきまといます。「うちに限って、相続でもめるなんてありえない」「たいした財産もないのに遺言なんて・・・」とお考えになられるかもしれません。

ところが実際に相続が発生し、財産が絡んでくると、兄弟が豹変したり、知らない人が名乗り出てきたりもします。また、相続の問題は非常に根が深く、法律だけでは解決できない感情の問題が多く含まれています。一度、こじれてしまうと収拾がつかなくなってしまいます。

 

そのようにならないためには、「遺言書をつくる」、もしくは「遺言書をつくってもらう」ことが最良の方法と言えます。

「遺言書」があれば、遺言書がない場合に比べてトラブルになる確率が大幅に減ります。遺言書さえあればこんなことにはならなかったのに、そんな事例を数多く見てきました。

 

しかし、「そうか、遺言書を書こう」とか、「よし、親に遺言書を書いてもらおう」と思っても、法律的に有効な書き方をするのは1人ではかなり困難です。せっかく書いた遺言も不備があり効力が認められないこともあります。

一方で、遺言を書いてもらう場合には、どのように話を持って行けば良いのか、という問題があります。

 

・子供たちの仲が悪くて、このままだとトラブルになりそうなので遺言を残したい

・事情があって、特定の子供に多くの財産を承継したい

・法定相続とは違う形で、財産を譲りたい

・親が遺言を考えているようなので一度親と一緒に相談したい

 

このような場合は、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

詳しくは「遺言作成に関するQ&A」をご覧ください。

 

 

公正証書遺言の作成方法

公正証書遺言の作成方法は次のようになっています。

①証人2人の立会のもとで、遺言者が遺言の趣旨を口授する

②公証人が遺言者の口授を筆記し、遺言者と証人に読み聞かせ、または閲覧させる

③遺言者と証人が、筆記が正確であることを承認した上で各自署名押印する

④公証人が適式な方式によって作成された旨を付記し署名押印する

 

 

公正証書遺言を作成するには、本人が公証人役場に出向いて作成することが必要ですが、上記のような手続きであり、一般の方がいきなり公証人役場に出向いて遺言を作成しようとしても、なかなか難しい面があります。

ですから、まずは専門家である弁護士にご相談の上、公正証書遺言を作成されることをお勧めいたします。

弁護士がご相談を受けた場合、相続人の状況、財産の状況等をお伺いし、どのような遺言書を作成するかを検討し、公証人ともすり合わせを行いながら遺言の案文を作成します。

 

以下に公正証書遺言作成のポイントを列挙します。

 

1)相続人調査を行う。

遺言を書くに際して、相続人調査を行っていないケースがたまにあります。「相続人なんか分かっている」と思われるかも知れませんが、想定外の相続人が出てくるケースが意外とあるのです。

相続人の範囲を明らかにするために、遺言者が生まれてからその作成時点までのすべての戸籍謄本を申請いたします。また、推定相続人全員の戸籍謄本も申請し、相続関係図を作成いたします。相続関係図を作成することで、まず、法定相続の場合のシミュレーションを行うことができます。

 

2)相続財産調査を行う

相続人調査と並んで、相続財産調査を行います。財産のうち最も大事なものは、多くの場合に不動産ですので、土地・建物の登記簿謄本や固定資産税評価証明書を取り寄せます。さらに、預貯金、株式、債権、現金、動産、負債等、すべてをリストアップします。

 

3) 法律に配慮して、遺産分割の方法を記載する。

遺言書に書きさえすれば、どんな分け方でも出来るということではありません。配偶者や子供は遺言でも侵すことのできない遺留分を有しています。従って、遺言書を作成する場合、遺留分を侵害していないかどうか、侵害しているならその対策が必要です。

 

4) 遺言執行者を指定する

遺言書は作成するだけでなく、それが確実に執行されることが極めて重要です。

遺言を作成する時点で弁護士を遺言執行者に指定しておけば、後の遺言の執行もスムーズに行えるので安心です。

 

5)公証人と意思の疎通を図っておくこと

公証人も遺言に関して多くの知見を有しており、有益なアドバイスをくれます。どんな想いで、どのように財産を残したいのかしっかりと公証人と意思の疎通を図る必要があります。また、通常はこちらで作成した遺言を事前に公証人に送り、修正等しながら遺言者が公証役場にいく当日までに遺言の文案を完成させます。そういった意味においても公証人との意思の疎通を図る必要があります。

 

 

公正証書遺言を薦める理由

遺言は大きくは普通方式と特別方式とにわけることができます。通常の場合は普通方式であり、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類があります。

法律的に有効な遺言を作成し、確実な処理を望まれる場合、公正証書遺言をお勧めします。

 

以下では、念のために、三種類の方法についてご説明致します。

 

【自筆証書遺言】

本人が、遺言本文・日付・氏名を自筆で書いた書面に捺印したものです。ワープロなどの印字された文字や代筆は認められず、必ず自筆で書くことが必要となりますので字が書けない人は作成できません。押印は実印である必要はなく、認め印でも構いません。

 

【長所】

最も簡単かつですし、費用もかかりません。

 

【短所】

自筆証書遺言は内容が不明確であるため無効になったり、偽造・変造されたり、相続人がその存在を知らないため発見されないまま終わってしまう可能性があります。家庭裁判所での検認手続も必要です。

 

【公正証書遺言】

公正証書によって作成する遺言であり、公証人の前で遺言の内容を口授し、公証人がその内容をまとめて作成します。

公正証書遺言の作成手順は次のとおりです。

①証人2人の立会のもとで、遺言者が遺言の趣旨を口授する

②公証人が遺言者の口授を筆記し、遺言者と証人に読み聞かせ、または閲覧させる

③遺言者と証人が筆記が正確であることを承認した上で各自署名押印する

④公証人が適式な方式によって作成された旨を付記し署名押印する

 

【長所】

公証人が作成するので自筆証書遺言のような短所はありません。家庭裁判所での検認手続も不要です。

公正証書遺言は公証役場にその原本が保管されていることから、その存在が一番確実なものであり、家庭裁判所における検認手続も不要です。日本公証人連合会は全国の公正証書遺言をコンピューターに登録して管理しているので、法律上の利害関係ある人は公正証書遺言の有無や保管している公証役場の検索をしてもらうことができます。

 

【短所】

証人が立ち会うので遺言の内容が事前に漏れる可能性もなくはありません。また、作成にあたり公証人に手数料を支払う必要があります。

 

【秘密証書遺言】

秘密証書遺言は自筆証書遺言と公正証書遺言の方式を合わせたような方式です。秘密証書遺言の作成手順は次のとおりです。

①遺言者が証書に署名押印する

②遺言者が証書を封じ、証書に用いた印章で封印する

③遺言者が公証人1名及び証人

名以上の前に②の封書と提出して事故の遺言書であること、筆者の氏名、住所を申述する

④公証人が証書の提出された日付、③の遺言者の申述を封紙に記載して、遺言者及び証人とともに署名押印する

 

【長所】

秘密証書遺言は内容を秘密にでき、また遺言書の存在は公証人や証人が知るところとなります遺言書の存在は明らかになります。

 

【短所】

遺言書の内容自体については公証人が確認していませんので、不明確な内容であるために無効となる恐れもあります。公証役場には遺言書を作成した事実は残りますが、遺言書は保管されないので、紛失・隠匿・未発見の危険が残ります。遺言者自身の署名が必要なので筆記できない人は利用できません。家庭裁判所での検認手続も必要です。

 

 

以上からすると、一般的には公正証書遺言が最も安心で確実な方式といえます。

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