遺言執行者についてのQ&A

Q:遺言執行とは何ですか

A:遺言執行とは被相続人の死後に遺言内容を実現する手続をいいます。

例えば、遺言の内容にしがたい預貯金の解約や名義変更をしたり、動産を分配したりする手続です。

 

Q:遺言執行者とは何ですか。

A:遺言執行の目的を達成するために、遺言で指定され、または家庭裁判所に選任された者をいいます。

遺言執行者は「相続人の代理人」とされますが、場合によっては推定相続人の廃除も行うので、必ずしも相続人の利益のためだけに行為するものではありません(最判昭和30年5月10日)。

 

(平成30年改正民法後)

遺言執行者は、「遺言の内容を実現するため」、遺言の執行に必要な一切の行為をなす権利義務を有します(改正民法1012条1項)。

これにより、遺言執行者は遺言の内容を実現することを責務とし、必ずしも相続人の利益のために職務を行うものではないことが明らかになりました。そのため、遺留分侵害額請求がなされた場合など、遺言者の意思と相続人の利益が対立する場合も遺言者の意思に従えばよいこととなります。

 

Q:遺言執行者にはどんな権限がありますか。

A:遺言執行者は相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しており、そのために相当かつ適切と思われる行為をすることができます。

例えば、対象物件の引き渡しや管理、関係書類の引き渡しや管理、遺言で財産処分の指示がある場合の処分、遺言執行に必要な訴訟提起、といったことができます。

 

(平成30年改正民法後)

①特定遺贈がされた場合

遺言執行者がある場合は遺言執行者のみが遺贈の履行をすることができます。

②特定財産承継遺言がされた場合

この場合、遺言執行者は対抗要件(登記等)を具備するために必要な行為を行うことができます。不動産については受益相続人が単独で登記申請できますが、受益相続人が登記申請しないで放置している場合、遺言執行者が登記申請する事案もでてくると思われます。

③預貯金債権の場合

遺言執行者が預金の払戻をして相続人に分配することができます。改正前においても、預金の解約や払戻権限について明記してある遺言であれば遺言執行者において解約や払戻ができましたが、改正によりそのような文言がなくとも、解約や払戻ができることとなります。

 

Q:遺言執行者は報酬がもらえますか。

A:もらえます。

遺言に定めがあればそれにしたがい、定めがない場合は家庭裁判所の審判によって定まります。

 

Q:遺言執行者にはどのような義務がありますか。

A:次のように各種の義務があります。

①財産目録の作成・交付義務

遅滞なく財産目録を作成して相続人に交付しなければなりません。記載内容は相続財産を特定し現況が把握できる程度の内容であればよく、必ずしも個々の財産額の評価額まで記載する必要はありません。債務については遺言執行に必要な範囲で記載します。相続債務は相続財産から支払うべきものであり、財産目録に記載します。

②善良な管理者としての義務

遺言執行者は相続人との関係では委任関係にあるので、善良なる管理者としての注意義務を負います。

③報告義務

相続人から要求があればいつでも遺言執行の状況等について報告しなければなりません。

④受領物の引渡義務

相続人のために受領した金銭や収受した果実、権利について相続人に引き渡しまたは移転しなければなりません。

⑤補償義務

相続人のために受領した金銭を費消してしまった場合、相続人に対して費消した日以降の利息を支払わなければなりません。

 

Q:遺言執行の事務を誰かに手伝ってもらうことはできますか。

A:履行補助者の選任ができます。

例えば弁護士や税理士等を履行補助者としてその事務を手伝ってもらうことができます。

 

Q:遺言執行者がいる場合、相続人で相続財産を処分できますか。

A:できません。

遺言執行者がいる場合、相続人は相続財産の処分その他遺言執行を妨げる行為をすることができません。

例えば、遺贈の対象となっている不動産を相続人が第三者へ譲渡しても、その譲渡は無効となります。

 

Q:遺言で遺言執行者が指定されていますが、遺言内容と異なる遺産分割をすることはできますか。

A:できます。

相続人全員の同意があれば、遺言執行者の同意がなくとも可能であると考えられています。

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