死亡退職金の受取方法は?

死亡退職金の支払い方法と受取人について詳しく解説

 

遺族や相続手続きを担当する方々にとって、死亡退職金の受け取り方や手続きについては争いの火種となってしまう場合があります。死亡退職金を受け取るにはどのような手続きが必要であるのか、また、支払先や計算方法、相続税についても把握しておくことが大切です。本記事では、死亡退職金の貰い方について紹介し、解決法や注意点についても解説します。問題が起こらないよう、よく理解しておきましょう。

 

1: 死亡退職金の概要と受け取り方

死亡退職金の受け取り方ですが、受給権者について法令、退職金支給規程等に定めがある場合は、その定めに従い当該受給権者が直接受給することができます。この場合は受給権者の固有の権利にあたるので民法上の相続財産には該当しません。

一方、受給権者に関するして定めがない場合は、相続人間で遺産協議の中で受給割合等を決めて受け取ることになります。通常は法定相続割合に従い受け取ることになるかと思われます。この場合に民法上の相続財産に該当するかどうかについては見解が分かれます。

もっとも、注意点として「死亡退職金と相続税」という問題があります。仮に、死亡退職金が民法上は相続財産に該当しない場合であっても、 死亡退職金は相続税法上は見なし相続財産として、課税対象となります。そのため、死亡退職金を受け取る際には相続税を支払う必要があります。しかし、死亡退職金には非課税枠があります(500万円×相続人の人数)ので、この非課税枠の範囲であれば相続税を支払う必要はありません。

 

2: 死亡退職金の受取人とその優先順位について

死亡退職金の受給権者は法令や支給規程に定めがあればそれに従います。法令や支給規程では第一順位が配偶者(内縁の配偶者も含む場合が多いです)、第二順位が扶養されていた子、第三順位以下にそれ以外の子、父母、孫等と規定されていることが多いようです。

受給権者について定めがない場合には相続人間の協議で受給権者を決めることとなります。なお、支給規程のない財団法人が理事会の決議により、死亡した理事長の配偶者に退職金を支払った事例があります(最判昭和62年3月3日)。

 

3: 死亡退職金が相続財産ではなく受取人固有の財産である理由

死亡退職金は、役員や被用者が亡くなった場合に遺族に支払われる一時金です。死亡退職金については法令や支給規程で民法の相続人の順位と異なる定めがされていることが多く、遺族の生活保障を目的としたもので、受給者は相続人としてではなく、当該規定により自己固有の権利として受け取るものとされています。そのため民法上は相続財産に該当しないとされ、遺言書によって他の相続人への遺贈を行うこともできません。

もっとも、支給規程がない場合や、支給規程に遺言で受給権者を指定できるといった定めがある場合には、遺言で受給権者を指定することができます。

 

4: 死亡退職金を受け取るために必要な手続き

最後に必要な手続きについてですが、支給先への支払請求、遺産分割協議や相続税申告などの手続きを行う必要があります。特に遺産分割協議や相続税の申告については専門家への相談をお勧めいたします。 遺族にとってこの問題は重要かつ難解なものです。しっかりとした法的知識を持ち、専門家のアドバイスも活用しながら解決していくことが求められます。

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