通常の共有持分と遺産共有持分が併存する場合の分割方法が合理化されます
1 通常の共有持分と遺産共有持分が併存する場合のこれまでの扱いはどのようなものだったでしょうか。
例えば、AさんとBさんが共有している土地について、Bさんが亡くなり相続が発生した場合が考えられます。この場合、Bさんの土地については遺産共有となります。
従来、この場合には、Bさんの土地について相続人で遺産分割手続を行い、その上で、Aさんと通常の共有物分割の手続を行う必要がありました。
このように2回にわたり手続を行う必要があり、煩雑でした。
2 法改正では手続はどうなりましたか。
相続開始から10年を経過したときは、遺産共有の解消も地方裁判所の共有物分割請求訴訟において実施することが可能となりました。
この新しい制度は不動産に限らず、共有物一般について可能とされています(新民法258条の2Ⅱ、Ⅲ)。
共有物分割請求訴訟において遺産共有を解消する場合、具体的相続分ではなく、法定相続分又は指定相続分が基準となります。つまり特別受益や寄与分の主張はできません。
もっとも、10年経過する前や、被告である相続人から異議があった場合は、現行法と同じく、遺産分割手続及び共有物分割手続が必要となります。