【解決事例】被相続人が韓国籍で韓国の戸籍がなくとも不動産の相続登記ができた事例

相談者:Xさん

被相続人:父(韓国籍)

被相続人との関係:子

争点:被相続人の出生から死亡までの戸籍(韓国の戸籍)がなくとも相続登記ができるか

 

・背景

父がなくなり、父の姉(相談者の叔母)から、被相続人名義の不動産の相続手続を手伝うので不動産の売却ができたら代金の半分を支払って欲しいとの通知が弁護士を通じてきたため、叔母の協力がないと相続登記ができないのか、相談にみえました。

 

・弁護士のかかわり

叔母の通知の内容は叔母が韓国の戸籍を集めたり、不動産業者を手配したりしたので、その分費用を支払って欲しいとのものでした。依頼者は叔母にそのようなことを頼んだこともなく、叔母が勝手に行い、勝手に数百万円もの金銭の請求をしている不当請求案件でしたので、当職が代理人として関与することになりました。

 

・解決内容

不動産の相続登記をするためには、だれが相続人であるかを明らかにする必要があり、これは通常は被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得して証明します。本件では被相続人が韓国籍であり、韓国の戸籍を調べましたが、日本の住民票や外国人登録原票の内容と名前や生年月日に齟齬があり、韓国の戸籍上記載されている人物と被相続人の同一性が証明できませんでした。そこで法務局と協議したところ、相続人全員に「他に相続人がいないこと」を証明するための申述書の提出をするよう指示されました。依頼者以外の相続人は依頼者の妹のみであり、当職から申述書の提出を繰り返し依頼しましたが、すでに相続放棄をしており関わりたくないとのことで、妹が代理人を通じて申述書の作成を拒否してきました。法務局からは相続放棄をした相続人にも申述書を作成してもらう必要があるとのことで、妹の協力がないままでは相続登記ができない状況となりました。

そこで、登記の先例や裁判例を調べたところ、調書判決でもその判決理由中に「他に相続人がいないこと」が記載されていれば相続登記ができることが分かりました。

そこで相続放棄した依頼者の妹を相手として所有権確認請求訴訟を提起したところ、妹は相続放棄しているため請求を争わず、請求を認諾しました。妹が請求を認諾したため、認諾調書が作成され、その調書の中に「他に相続人がいないこと」が記載されており、それを法務局へ提出したところ、無事に相続登記が認めらました。

 

・所感

韓国の戸籍と日本での情報(住民票、外国人登録原票等)に齟齬があることがあります。この場合、相続関係の証明は難しく、特に不動産登記で困ることがあります。本件では他の相続人の協力が得られないとの事情もありました。そうような場合でも裁判手続を利用すれば相続登記できる場合があります。逆に、法務局は形式主義ですので、資料がない限りは登記できません。韓国の戸籍が不十分でも裁判手続を利用するなどして相続登記できる場合がありますので、是非弁護士に相談していただきたいと思います。

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