【解決事例】父の遺産相続(遺留分・遺言執行)と母の遺産相続(遺産分割)を同時に協議で解決した事例
相談者:Nさん
相続人:Nさん、兄、妹
・背景
Nさんの父及び母が亡くなり、父は公正証書遺言をしておりNさんの遺留分が侵害される内容でした。また、父の遺言では相続人の一人である長男が遺言執行者となっており、手続面でスムーズに進んでいませんでした。
さらに、母は遺言をしておらず、分割協議が必要でしたが、こちらも話が中断していました。
・弁護士の関わり
本人同士では協議が進まず、また、長男の遺言執行の進め方に不満があるとのことで、当職が代理人として受任し、協議をすることといたしました。
・解決内容
父の遺産相続に関しては、遺言執行者である兄の執行行為について、遺産に漏れがあったり、こちらが求める報告がされなかったりと、必ずしも適切ではなく、粘り強く交渉し、疑問点を1つ1つ解消していきました。また、遺留分についても不動産の評価で意見の相違があり、こちらも粘り強く交渉をしました。
母の遺産分割においても、Nさんが生前に贈与を受けた建物の評価で見解に相違があり、協議は難航いたしました。
父の遺産についての遺言執行、遺留分、母の遺産分割と、それぞれ別個の案件でも全体を見て解決をする必要があり、最終的には訴訟(遺留分)や審判(遺産分割)になった場合の結論を見越して、それに近い形で合意することができました。
・所感
当事者同士ではスムーズに話ができない場合に、弁護士であれば、訴訟や審判になった場合の結論を見据えて法的見地から協議をすることができます。そのため、相手が不当な要求をしている場合には毅然とそれを拒否し、法的にみて妥当な結論へと導くことができます。
また、遺言執行については相続人の一人が遺言執行者になっていましたが、専門家ではなく、相続人が遺言執行者になった場合のデメリットがまさに顕在化した案件といえました。きょうだいの関係が不安の場合には、遺言執行者は第三者の専門家に依頼しておく方が将来の紛争予防の見地からは望ましいと言えます。