【解決事例】遺産である土地に設定されていた根抵当権設定登記を抹消できた事例
相談者:Kさん
被相続人:父
被相続人との関係:子
・背景
父が亡くなり、遺産として土地がありましたが、土地には30年以上前に設定されていた根抵当権設定登記が残っており、根抵当権者も死亡しているため、詳細もわからず、どうしてよいかわからないとのことで相談に見えました。
・弁護士のかかわり
事情を聞くと、根抵当権者には相続人が数名いること、債務の内容もわからないこと、父が債務の返済をしていた形跡もないとのことでした。根抵当権が設定されてから30年以上経過しており、債務の消滅時効を理由に根抵当権設定登記を抹消できると考え、当職が代理人として受任しました。
・解決内容
まずは戸籍等で根抵当権者を特定し、被担保債権(根抵当権設定の原因となっている債務)が時効により消滅していることを理由に、根抵当権設定登記の抹消に協力をしてほしい旨の連絡をしました。根抵当権者の相続人4名中、3名は協力してくれるとのことでしたが、1名からは明確な回答をもらえませんでした。そこで協力すると言ってくれた3名には事情を説明した上で、根抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟を提起いたしました。
訴訟ではこちらの消滅時効の主張が認められ、根抵当権設定登記の抹消を命じる判決を得ることができました。そして、判決に基づき無事に根抵当権設定登記を抹消することができました。合わせて、土地について相続人で分割協議を行い、相続登記もいたしました。
・所感
本件では抵当権者の相続人の調査、交渉、訴訟提起という流れで、弁護士でなければ解決できない事案であったと言えます。遺産である不動産に古くからの抵当権が設定されている場合、債務を返済せずとも抵当権を抹消できる場合がありますので、弁護士にご相談ください。