解決事例(遺言)

1 内縁の妻のために公正証書遺言を作成した事例

 

相談者:Aさん(30代・男性)

被相続人との関係:本人

争点:公正証書遺言の作成

 

●背景

Aさんは独身ですが、内縁の妻がいました。会社を経営されており、資産もかなりお持ちの方でした。将来的には結婚したいと考えていましたが、諸事情から結婚できないでいました。そこで万が一の場合に備えて遺言を作りたいとのことで相談に見えました。

 

●弁護士のかかわり

本件では自筆証書にしなければならない理由もなかったので、自筆証書遺言よりも確実性の高い公正証書遺言の作成を進めました。

 

●解決内容

Aさんは基本的には内縁の妻に財産を残したいと考えていましたが、両親の気持ちや遺留分にも配慮をして、財産の一部を両親に残す内容の遺言を作成しました。

 

●所感

遺言については、自筆証書よりも公正証書の方が、公証人や証人といった第三者が立ち会いますし、遺言書も公証役場にて保管してもらえるので確実性が高いといえます。内縁の妻は相続人にはなれませんので、もし遺言がなければ相続することはできません。一方で相続人には遺留分もありますので遺留分を意識した遺言内容にすることも必要です。残される人たちのことを思えば遺言書の作成は必須だと言えます。

 

2 お世話になっている甥のために遺言を作成した事例

相談者:Bさん(80代・男性)

被相続人との関係:本人

争点:公正証書遺言の作成

 

●背景

Bさんには妻がいましたが、妻が亡くなってからは一人暮らしをされていました。Bさんには子が一人いましたが、普段からお世話になっている甥にも財産を残してあげたいとのことで相談に見えました。

 

●弁護士のかかわり

本件では自筆証書遺言よりも確実性の高い公正証書遺言の作成を進めました。

 

●解決内容

Bさんは甥に多くの財産を残したいとのことでしたので、子の遺留分に配慮しつつ、甥が多くの財産を取得できる内容(遺贈)の遺言書を作成しました。

 

●所感

遺言については、自筆証書よりも公正証書の方が、公証人や証人といった第三者が立ち会いますし、遺言書も公証役場にて保管してもらえるので確実性が高いといえます。甥は相続人にはなれませんので、もし遺言がなければ相続することはできません。一方で相続人には遺留分もありますので遺留分を意識した遺言内容にすることも必要です。残される人たちのことを思えば遺言書の作成は必須だと言えます。

 

3 結婚を機に遺言書を作成した事例

相談者:Aさん(40代・男性)

被相続人との関係:本人

争点:公正証書遺言の作成

 

●背景

Aさんは独身したが、会社を経営されており、資産もかなりお持ちの方でした。結婚したことを機に両親にも配慮して生前に対策をしたいとのことで相談に見えました。

 

●弁護士のかかわり

本件では自筆証書遺言よりも確実性の高い公正証書遺言の作成を進めました。

 

●解決内容

Aさんは基本的には妻に財産を残したいと考えていましたが、両親の気持ちにも配慮をして、財産の一部を両親に(両親がAさんより先になくなれば妻に)残す内容の遺言を作成しました。また、大切にしている愛犬についも相続人が面倒をみるよう配慮した内容にしました。

 

●所感

遺言については、自筆証書よりも公正証書の方が、公証人や証人といった第三者が立ち会いますし、遺言書も公証役場にて保管してもらえるので確実性が高いといえます。Aさんの場合、妻と子が推定相続人となりますので、両親は通常相続できません。両親にも財産を残そうとするのであれば、遺言の作成は不可欠となります。

 

4 介護施設にて公正証書遺言を作成した事例

 

相談者:Oさん

 

・背景

介護施設に入所中の父が遺言を作りたいとのことで、その娘であるOさんが相談に見えました。

 

・弁護士のかかわり

父が病気で今後どうなるかわからないとのことで、急ぎ公正証書遺言を作ることにいたしました。

 

・解決内容

公正証書遺言を作るまでにはある程度時間がかかるため、その間父が亡くなると遺言が無い状況でしたので、まずは自筆で遺言を書いてもらいました。

その上で、公証人と打ち合わせをしながら、父が入所している施設まで公証人に来てもらい、公正証書遺言を作成しました。また、父が高齢であり、将来遺言能力についての紛争を予防するために、遺言書作成前にビデオ撮影をし、父の様子を記録化しました。

 

・所感

今回は遺言者が公証役場まで行くことが困難であったため、公証人に介護施設まで来てもらい、遺言を作成しました。

公正証書遺言の場合、戸籍を取得したり、公証人と遺言の条項について協議をしながら進めますので、ご自身で手続を進めることは煩雑かもしれません。また、司法書士や税理士が作成に関与している公正証書遺言もありますが将来の紛争予防観点が十分ではなく遺言があるのに紛争になることがあります。弁護士の場合将来の紛争を見越して遺言案を作成しますので、紛争予防の観点からも弁護士に依頼して作成することをお勧めいたします。

 

5 自筆証書遺言が無効になった事例

相談者:Aさん(60代女性)

被相続人:母

被相続人との関係:子

争点:自筆証書遺言の有効性

 

・背景

被相続人母は公正証書遺言をのこし、全ての財産をAさんに相続させる内容となっていました。もう一人の相続人のBさんが遺留分減殺調停の申立てを行い、その調停中に、Bさんから、公正証書遺言とは全く内容(Aさんに不利な内容)の異なる自筆証書遺言が見つかったとのことで、その自筆証書遺言の有効性が争いになりました。

 

・弁護士のかかわり

突然発見されたという自筆証書遺言について、発見の経緯、形式面や内容面から無効である可能性が高く、自筆証書遺言無効確認請求訴訟を提起しました。

 

・解決内容

最終的に判決で自筆証書遺言の無効が認められ、相手は控訴せず、判決は確定しました。これによりAさんは当初の公正証書遺言のとおり遺産を取得することができました。

訴訟では、被相続人母の妹が自筆証書遺言を預かっておりそのことを忘れていたが思い出したのでBさんに連絡をしたという発見の経緯の不自然さ、その妹が書いたとされるBさん宛ての手紙の筆跡の不自然さ、自筆証書遺言がとても細かい字で書かれており90代の認知症であった被相続人母がとても書けるとは思えないこと、自筆証書遺言の筆跡が被相続人母の筆跡と異なっており、むしろBさんの筆跡との類似が多いこと(この点は、こちら側で簡易筆跡鑑定も行い鑑定書を提出しました。)、自筆証書遺言の原本を確認したところ下書きのようなものがされていたこと、存在しない預金口座番号が記載されているなど内容におかしい点が多いこと、を主張立証しました。これらの主張立証が認められ、自筆証書遺言の無効が確認されました。

 

・所感

遺言、特に自筆証書遺言の無効については筆跡鑑定がよく問題になりますが、それ以外にも遺言の形式面、内容面、発見経緯、遺言者と相続人の関係といった筆跡以外の要素も重要となります。遺言無効訴訟ではそのような多面的な主張立証が必要になると言えます。

 

 

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