【解決事例】自筆証書遺言の無効が認められました。
当事務所が原告代理人として、自筆証書遺言の無効確認を求める訴訟を提起したところ、判決により自筆証書遺言の無効が認められました(名古屋地方裁判所岡崎支部)。
事件概要
相談者:Aさん(60代女性)
被相続人:母
被相続人との関係:子
争点:自筆証書遺言の有効性
背景
被相続人母は公正証書遺言をのこし、全ての財産をAさんに相続させる内容となっていました。もう一人の相続人のBさんが遺留分減殺調停の申立てを行い、その調停中に、Bさんから、公正証書遺言とは全く内容(Aさんに不利な内容)の異なる自筆証書遺言が見つかったとのことで、その自筆証書遺言の有効性が争いになりました。
弁護士のかかわり
突然発見されたという自筆証書遺言について、発見の経緯、形式面や内容面から無効である可能性が高く、自筆証書遺言無効確認請求訴訟を提起しました。
解決内容
最終的に判決で自筆証書遺言の無効が認められ、相手は控訴せず、判決は確定しました。これによりAさんは当初の公正証書遺言のとおり遺産を取得することができました。
訴訟では、被相続人母の妹が自筆証書遺言を預かっておりそのことを忘れていたが思い出したのでBさんに連絡をしたという発見の経緯の不自然さ、その妹が書いたとされるBさん宛ての手紙の筆跡の不自然さ、自筆証書遺言がとても細かい字で書かれており90代の認知症であった被相続人母がとても書けるとは思えないこと、自筆証書遺言の筆跡が被相続人母の筆跡と異なっており、むしろBさんの筆跡との類似が多いこと(この点は、こちら側で簡易筆跡鑑定も行い鑑定書を提出しました。)、自筆証書遺言の原本を確認したところ下書きのようなものがされていたこと、存在しない預金口座番号が記載されているなど内容におかしい点が多いこと、を主張立証しました。これらの主張立証が認められ、自筆証書遺言の無効が確認されました。
所感
遺言、特に自筆証書遺言の無効については筆跡鑑定がよく問題になりますが、それ以外にも遺言の形式面、内容面、発見経緯、遺言者と相続人の関係といった筆跡以外の要素も重要となります。遺言無効訴訟ではそのような多面的な主張立証が必要になると言えます。