遺言を作りたいのですが、遺言執行者は必要ですか?
遺言を残した場合の相続手続
遺言書を書いても、遺言者が亡くなった後、自動的に遺言書の内容が実現されるわけではありません。遺言の内容に従い財産の名義を変更したり、解約したり、分配する手続が必要となります。
相続手続に必要な書類としては次のようなものがあります。それらの書類は役所や法務局などで取得する必要がありますが、平日しかやっていないので、仕事がある相続人にはとても煩雑です。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人の印鑑証明書
・金融機関所定の手続用紙
・固定資産税評価証明書
・不動産登記事項証明書
遺言書があってもトラブルになることがあります
遺言執行者が決まっていない場合、財産の名義を変更したり、解約したり、分配する手続を相続人全員で行う必要がありますが、相続人の人数が多い場合、足並みが揃わず、非常に煩雑となります。
遺言執行者を決めておくメリット
1.遺言の内容を確実に実現できる
他の相続人が勝手に財産を処分したり、手続を妨害するような行為を防ぐことができます。
2.相続手続がスムーズに進行する
預貯金不動産の手続きにおいて「相続人全員分の署名・押印」が不要になり、かなりの手間が省けます。
3.相続手続に協力しない相続人が出ても手続きを進行できる
遺言執行者なしに、相続人全員で遺言の執行をしようとして、もし誰か一人が「協力しない」と言い出したら、そこで執行がストップしてしまいますが、執行者は1人で手続きを進めることができます。
遺言執行者を弁護士に依頼するメリット
仮に、相続人の誰かが遺言執行者に指定されていたとしても、「なぜお前が遺言執行者なのか」、「なぜ遺言でこのような分け方になっているのか」、「この財産目録は本当に正しいのか。他に隠していないか」、「早く手続を進めろ」などと、他の相続人から文句を言われる可能性があります。
遺言執行者を弁護士に依頼すると次の手続が確実に実行できるメリットがあります。
- ・就任した旨を相続人全員に通知
- ・戸籍謄本等を収集して相続人を確定
- ・相続財産の調査をして,財産目録を作成し,相続人に交付
- ・法務局での各種登記申請手続
- ・各金融機関での預貯金等の解約手続
- ・証券会社での株式等の名義変更・売却手続
- ・その他の財産の換価手続
- ・遺言にしたがった財産の分配
- ・遺言の執行状況の報告と完了の業務報告
上記の業務は、残された相続人にとって、時間的にも、精神的にも負担になってしまう業務です。これらを弁護士に全ておまかせいただくことで、負担を軽減することができます。