解決事例(遺留分減殺請求・遺留分侵害額請求)

1 遺留分減殺請求をされた相続人が、相手の請求額を1500万円減額できた事例

 

相談者:Aさん(50代・女性)

被相続人との関係:子

争点:遺留分額の算定

 

●背景

Xさんが亡くなりましたが、ほとんどの財産をAさんに相続させる旨の公正証書遺言が作成されていました。これに対してもう一人の相続人であるBさんから遺留分減殺請求調停の申立てがなされました。そこで遺留分減殺請求調停に対応するためにAさんが相談に来られました。

 

●弁護士のかかわり

相手方のBさんは、不動産の価額について固定資産税評価額ではなく不動産業者の見積もり金額での価額を主張し、また、特別受益があったこと等を主張して、遺留分として約2000万円を主張していました。これに対してはこちらも、別の不動産業者に見積もりをしてもらうとともに、特別受益には当たらないことを丁寧に主張しました。また、遺言書に「付言事項」として、Xさんが生前にBさんにマンション購入費用の頭金として200万円を贈与していた旨の記載がありましたので、逆にBさんについて特別受益があったとの主張をしました。

 

●解決内容

粘り強く丁寧に説明をしていった結果、最終的にBさんの遺留分額を500万円とする内容の調停が成立しました。

 

●所感

本件は遺留分減殺請求をされる立場でした。遺留分額については財産の評価方法や生前の贈与が特別受益にあたるか否かによって大きく変わってきます。本件では特に特別受益にはあたらないと裁判所に評価してもらえたことが大きなポイントとなりました。財産の評価方法な特別受益の有無で遺留分も大きくかわります。遺留分減殺請求をする場合も、遺留分減殺請求をされてしまった場合も是非弁護士にご相談ください。

 

 

2 もらえる遺留分の額が倍増した事例

相談者:Bさん(50代・女性)

被相続人との関係:子

争点:遺留分額の算定

 

●背景

Xさんが亡くなりましたが、全ての財産を後妻であるAさんに相続させる旨の公正証書遺言が作成されていました。これに対して相続人であるXさんの先妻との間の子であるBさんが、当該遺言が遺留分を侵害しているのではないかとの相談がありました。

 

●弁護士のかかわり

相手方の相続人Aさんは、不動産の価額について固定資産税評価額での評価を主張し、また、葬儀費用や法要の費用を相続債務として除外して算定した金額での遺留分額を支払うとの提案をしてきました。これに対して当方は、不動産の価額については少なくとも路線価によるべきであること、葬儀費用は法要の費用は遺留分の算定から控除すべき債務にはあたらないことなどを主張しました。

 

●解決内容

法律や裁判例をもとに相手方に説明をしていった結果、最終的に、相手方が当初提案していた金額の倍の金額で合意ができました。

 

●所感

本件は遺留分を請求する立場でした。遺留分については遺留分割合は法律で決まっていますが、具体的な額については財産をどうのように評価するかによって大きく変わってきます。不動産については、固定資産税評価額、路線価、時価といいた基準があり、どの基準を採用するかで遺留分額も変わってきますし、遺産から控除すべき債務もどこまで認めるかによって遺留分額が変わってきます。遺留分を請求する場合、合意してしまう前に一度弁護士にご相談ください。

 

3 遺留分の請求を排斥した事例

相談者:Aさん(60代・女性)

被相続人との関係:配偶者

争点:遺留分額の算定

 

●背景

Xさんが亡くなりましたが、全ての財産を後妻であるAさんに相続させる旨の自筆の遺言が作成されていました。これに対して相続人であるXさんの先妻との間の子であるBさんが遺留分を主張してきました。そこで困ったXさんが相談に見えました。

 

●弁護士のかかわり

遺留分が認められるか否かは、遺産の額や、債務、生前贈与、特別受益の有無によって異なってきます。Bさんは生前にXさんから贈与を多額の贈与を受けていたとの話がありましたので、まずは生前贈与の有無や特別受益の有無について調査しました。

 

●解決内容

調査の結果、BさんはXさんから多額の贈与を受けており(振込明細が見つかりました)、これが特別受益にあたると考えました。そこで改めてBさんの遺留分を算定してみると、今回請求できる遺留分はないとの結論になりました。そこでBさんに対してその旨を説明し、最終的には遺留分の請求を取り下げてもらうという形で解決しました。

 

●所感

本件は遺留分を請求するされる立場でした。遺留分については遺留分割合は法律で決まっていますが、具体的な額については遺産をどうのように評価するかによって大きく変わってきます。例えば、遺産から控除すべき債務や特別受益もどこまで認めるかによって遺留分額が変わってきます。遺留分を請求されてもあきらめず、一度弁護士にご相談ください。

 

4 遺留分減殺請求が交渉にて解決した事例(950万円)

相談者:Aさん(30代・女性)

被相続人との関係:孫(代襲相続人)

争点:遺留分額の算定及び交渉

 

●背景

Xさんが亡くなりましたが、全ての財産を子である長女に相続させる旨の公正証書遺言が作成されており、信託銀行が遺言執行者となっていました。いました。これに対して代襲相続人であるAさんが、長女とあまり面識がなく、交渉に不安があるとのことで相談に見えました。

 

●弁護士のかかわり

遺留分が認められるか否そしてその額は、遺産の額や、債務、生前贈与、特別受益の有無によって異なってきます。また、遺産の評価方法も問題になります。また、あまり面識のない相手との交渉は大きな負担となります。そこで当職が代理人として交渉にあたることとなりました。

 

●解決内容

遺言執行者が作成した遺産目録をもとに、不動産や同族会社の株式の金額についてこちらで算定しなおし、それをもとに遺留分額を算定し、相手と交渉しました。また、使途の明らかでない出金もあったため、その点も交渉の材料としました。その結果、受任から4約か月後に、遺言執行者が作成した遺産目録を基礎とした場合の遺留分金額800万円から150万円を上乗せした950万円での解決となりました。

 

 

●所感

本件は遺留分を請求するされる立場でした。遺留分については遺留分割合は法律で決まっていますが、具体的な額については遺産をどうのように評価するかによって大きく変わってきます。例えば、不動産の評価額をどうするか、使途不明金をどうするかによって、金額が変わってきます。そういった算定も含めて交渉段階から弁護士が関与することで調停や訴訟にするよりも早期解決が可能となります。

 

5 遺留分額が2000万円から5000万円に増加した事例

相談者:Aさん(60代・女性)

被相続人との関係:孫(子)

争点:遺留分額の算定及び交渉

 

●背景

Xさんが亡くなりましたが、全ての財産を子である長男に相続させる旨の公正証書遺言が作成されていました。しかし、遺言の有効性に疑問があり、生前に多額の使途不明金もありました。

 

●弁護士のかかわり

遺留分の算定だけではなく、遺言の有効性や使途不明金といった問題が複合的にからんでおり、相手との交渉も思うように進まないため、当職が受任することとなりました。

 

●解決内容

当職が受任したことで、相手も代理人を立ててきました。そこで代理人間で交渉を行いました。こちらから遺言が無効である可能性が高いこと、多額の使途不明金があることを主張しました。それに対して相手代理人もこちらの主張を汲み、当初2000万円の提案だったものが5000万円を支払うと提案してきました。複合的な問題を一挙に解決する観点から5000万円での合意が成立しました。

 

 

●所感

本件は遺留分だけでなく、遺言の有効性や使途不明金といった問題がありました。一方が代理人を立てることで相手も代理人を立て、それにより双方で議論がかみ合い、法律に則った合理的な解決ができた事例といえます。

 

6 遺留分侵害額が、当初の相手提案額2500万円から5100万円に増額になった事例

 

相談者:Tさん、Yさん

被相続人:母

被相続人との関係:孫(代襲相続人)

争点:相手提案の遺留分侵害額が妥当であるか否か

 

・背景

父が亡くなり、長男が全部相続する内容の公正証書遺言がありました。父より先に亡くなっていた三男の子である相談者が、相手の提案してきた遺留分侵害額に納得がいかないとのことで相談に見えました。

 

・弁護士のかかわり

まずは内容証明郵便で遺留分侵害額請求権を行使する旨の通知をするとともに、遺産に関する資料が何もなかったので、相手に資料の開示を求めました。

 

・解決内容

相手から遺産に関する資料の開示を受け、それをもとに不動産価格の調査や預金の取引履歴の調査を行いました。その結果、相手提案の一人当たり2500万円が不当に低額であることが分かりました。また、使途の明らかでない出金があったため、それについては相手に説明を求めました。

相手にも代理人がつき、資料の開示等がスムーズに進み、双方が納得できる金額として一人当たり5100万円での合意が成立しました。

 

・弁護士の所感

遺留分については支払う側はなるべく支払いたくないが故に通常よりも低い金額で提案をしてくることがあります。まずは遺産の種類や金額を正確に把握し、その上で遺留分を算定する必要があります。

なお、本件は、相手が一旦相続税を全額納めていたので、その相続税についても後々トラブルにならないように合意書を作成しました。こういったケースでは、遺留分権利者が負担するべき相続税額を相手が支払っているので、合意した遺留分額と遺留分権利者が負担するべき相続税額を相殺した上で残りの金額を支払ってもらうといった条項を作ります。

 

7 認知症の父が遺留分減殺請求権を行使しないまま死亡し、相続人が遺留分減殺請求権を行使して認められた事例

 

相談者:Oさん

被相続人:祖父

被相続人との関係:孫

争点:祖父の相続において父が認知症で遺留分減殺請求権を行使できないまま死亡した場合の、父の相続人による権利行使の可否(遺留分侵害を知ってから1年の時効が完成したと言えるか)

 

・背景

被相続人はOさんの祖父ですが、Oさんの父は認知症のため遺留分減殺請求権を行使しないまま亡くなりました。父を相続したOさんが遺留分減殺請求権を行使しようとしましたが、遺留分侵害を知ってから1年という時効により遺留分減殺請求権は行使できないのでは、とのことで相談にきました。

 

・弁護士のかかわり

Oさんの父は認知症のためとても権利行使できる状態ではありませんでした。そのため遺留分侵害を知ってから1年の時効は完成していないと判断し、依頼を受けることとなりました。

 

・解決内容

相手の相続人に対して、成年被後見人に関する時効停止の定め(民法158条)の趣旨からして、本件においても時効は完成していないとして、遺留分減殺請求権を行使する旨の通知をいたしました。これに対して相手代理人からは時効完成により、請求には応じないとの回答がきました。そこで遺留分減殺請求の調停の申立てを行いました。

調停においてもOさんの父は祖父の相続開始時、認知症で判断能力がなく、民法158条の法意からは時効は完成しておらず、相続人において権利行使可能との主張をし、最終的にはこちらの言い分に近い内容での調停が成立しました。

 

・所感

本件は遺留分権利者が権利行使しないまま死亡し、かつ、当時認知症で権利行使できる状況ではなかったという事案でした。この場合、成年後見と時効に関する民法158条を知っているかどうかで権利行使できるかどうか、判断を間違えてしまう可能性がありました。法的に正確な知識が必要となる案件でした。

 

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