前妻の子・後妻・後妻の子が関わる相続はなぜもめやすい?相続割合とトラブルを防ぐ方法

再婚をしたご家庭では、亡くなった方(被相続人)に「前妻との間の子」と「後妻」「後妻との間の子」がいる、というケースが珍しくありません。このような相続では、法律上は誰にどれだけの権利があるのかがはっきりしている一方で、実際の話し合いになると関係者同士がほとんど面識がなかったり、感情のすれ違いがあったりして、手続きが難航しやすいという特徴があります。この記事では、相続の割合の基本と、実際によく起こるトラブル、そしてトラブルを防ぐための生前対策について説明します。
こんなお悩みはありませんか?
- 前妻の子と後妻(または後妻の子)がほとんど面識なく、どう連絡を取ればいいか分からない
- 遺産分割協議を進めたいが、前妻の子から返事がない、または話し合いがまとまらない
- 自宅を誰が相続するかで、後妻と前妻の子の希望が食い違っている
- 生前のうちに、将来のトラブルを避けるための対策をしておきたい
前妻の子にも後妻の子と同じ相続の権利がある
まず前提として知っておきたいのは、前妻との間の子であっても、被相続人の実の子である以上、後妻との間の子と全く同じ割合の相続権を持つということです。両親が離婚していることや、長年疎遠であったことは、法律上の相続分には影響しません。
相続人が「配偶者(後妻)」と「子どもたち(前妻の子・後妻の子を含む全員)」である場合、法定相続分の基本は次のとおりです。
-
配偶者(後妻)
- 遺産全体の2分の1
-
子ども全員
- 残りの2分の1を、前妻の子・後妻の子の区別なく、人数で均等に分ける
たとえば、後妻との間に子どもが1人、前妻との間に子どもが1人いる場合、子ども2人でこの2分の1をさらに半分ずつ分けるため、それぞれ4分の1ずつを相続することになります。「後妻の子だから多くもらえる」「前妻の子だから少ない」といった扱いの違いは、法律上は生じません。
なぜこのケースはトラブルになりやすいのか
法定相続分自体は明確であるにもかかわらず、実際の手続きが難航しやすいのには理由があります。
-
相続人同士に面識がない
- 前妻の子と後妻・後妻の子が、これまで一度も顔を合わせたことがない、というケースは少なくありません。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なため、面識のない相手といきなり財産の話をすること自体が大きな心理的ハードルになります。
-
連絡先が分からない
- 離婚後に疎遠になっていると、前妻の子の現在の住所や連絡先を後妻側が把握していないことがあります。この場合、まず戸籍をたどって連絡先を調べるところから始める必要があります。
-
自宅の扱いをめぐる対立
- 後妻がそれまで被相続人と一緒に住んでいた自宅について、後妻は住み続けることを望む一方、前妻の子は自分の相続分に見合う現金を求める、というように希望が食い違いやすいのも典型的なパターンです。
-
感情的わだかまり
- 前妻の子には「後妻やその子どもに財産を持っていかれるのでは」という不安が、後妻側には「前妻の子に多くを渡したくない」という気持ちが、それぞれあることも珍しくありません。こうした感情面のもつれが、法律上は単純なはずの話し合いを長引かせる原因になります。
前妻の子にも「遺留分」がある
「前妻の子には財産を渡したくない」という希望から、後妻やその子どもにすべての財産を相続させる内容の遺言書を作成するケースもあります。しかし、前妻の子には「遺留分」という、遺言によっても奪うことのできない最低限の取り分が法律上保障されています。遺留分の割合は、原則として法定相続分の2分の1です。
そのため、前妻の子を完全に排除する内容の遺言を残しても、前妻の子から「遺留分侵害額請求」がなされ、結果的に金銭の支払いが必要になることがあります。感情的には理解できる希望であっても、遺留分の存在を踏まえずに対策を進めると、かえって後々のトラブルの火種になりかねません。
遺留分侵害額はどう計算する?請求には期限もある
遺言や生前贈与の内容によって、前妻の子が実際に受け取れる財産が、本来保障されている遺留分の金額に満たない場合、その不足分を「遺留分侵害額」と呼びます。
大まかな考え方としては、次のように整理できます。
- まず、遺産全体の価額に、その人の遺留分の割合(前妻の子の場合、多くのケースで法定相続分のさらに2分の1)を掛けて、「本来保障されている遺留分の金額」を算出する
- そこから、遺言や生前贈与によってすでに受け取った財産、遺産分割で取得する財産の価額を差し引く
- 反対に、その人が引き継ぐことになる借金などのマイナスの財産があれば、その分を上乗せする
こうして残った金額が、実際に請求できる「遺留分侵害額」になります。ただし、不動産や自社株など評価が分かれやすい財産が含まれる場合は、財産の評価方法によって金額が大きく変わることもあるため、正確な金額の算定は専門家に確認することをお勧めします。
なお、以前は遺留分を侵害された側が不動産などの財産そのものの返還を求める制度でしたが、2019年7月の民法改正により、現在は金銭の支払いを求める「遺留分侵害額請求」に変わっています。これにより、不動産が複数の相続人の共有状態になってしまう事態を避けやすくなりました。
この請求には期限がある点にも注意が必要です。相続が始まったこと、および遺留分を侵害する贈与や遺言があったことを知った時から1年以内に請求をしないと、時効によって権利が消滅してしまいます。知らないまま相続開始から10年が経過した場合も、同様に請求できなくなります(除斥期間)。「まだ気持ちの整理がつかない」と先延ばしにしているうちに期限が過ぎてしまうこともあるため、心当たりのある方は早めに専門家へ相談することが大切です。
トラブルを防ぐためにできる生前対策
このようなご家庭では、相続が発生してから話し合うよりも、生前のうちに対策をしておくことで、残される家族の負担を大きく減らすことができます。
-
遺言書を作成しておく
- 誰にどの財産をどれだけ相続させるかをあらかじめ決めておくことで、相続人どうしが一から遺産分割協議を行う必要がなくなります。付言事項として、なぜそのような配分にしたのかという気持ちを書き添えることも、相続人どうしの感情的な対立を和らげる助けになります。
-
遺留分にも配慮した内容にする
- 前妻の子の遺留分を侵害しない範囲で配分を決めておくことで、遺言の内容どおりに手続きが進みやすくなります。
-
生命保険を活用する
- 生命保険金は原則として受取人固有の財産となり、遺産分割の対象になりません。後妻やその子どもの生活資金を確保する方法として活用されることがあります。
-
遺言執行者を指定しておく
- 弁護士などの専門家を遺言執行者に指定しておくことで、相続人どうしが直接やり取りをしなくても、遺言の内容に沿った手続きを進めることができます。
弁護士に依頼するメリット
- 面識のない相続人同士の連絡・交渉を弁護士が代理し、直接やり取りをする精神的な負担を軽減できます
- 遺留分にも配慮した、後々のトラブルにつながりにくい遺言書の作成をサポートします
- 遺産分割協議書の作成から、相続登記・名義変更まで、ワンストップで対応できます
前妻の子・後妻・後妻の子がかかわる相続でお困りの方は当事務所にご相談ください
- 前妻の子も後妻の子も、実の子である以上、法律上の相続分は同じである
- 相続人同士の面識のなさや感情的なわだかまりから、遺産分割協議が難航しやすい
- 前妻の子には遺留分があり、遺言によっても完全に排除することはできない
- 生前に遺言書の作成や生命保険の活用などの対策をしておくことで、残される家族の負担を大きく減らせる
前妻の子・後妻・後妻の子が関わる相続でお困りの方、また将来に備えて生前対策をご検討中の方は、当事務所へご相談ください。ご事情を伺ったうえで、経験を積んだ弁護士が最初から最後まで一貫してサポートさせていただきます。














a>